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校内研究における「21世紀型コミュニケーション力の育成」
【Q1. 21世紀型コミュニケーション力を学校の研究テーマに取り上げたいきさつ】
 A1.平成20年度から情報活用能力の育成の研究をしていた。
国語科を中心として取り組み、「しらべる」→「まとめる」→「発信」の学習活動をしていた。
その中で、まとめる場面、発信前のブラッシュアップの場面、発表後の交流などコミュニケーション能力を育成す
る場面が多くあり、研究を引き続き進めるなかで、21世紀型コミュニケーション力の育成と結びついた。

【Q2 研究をどのような考え方で進めていったのか。】
 A2.言語力は、各教員でとらえ方が様々である。そこで、21世紀型コミュニケーション力の能力表の内容を本校の
言語力の捉え方の中心においた。そして、能力表を基にしながら、どの学年のどの単元でどのような言語力をつ
けるかを洗い出して重点教材を決め、一覧表にした。

【Q3 21世紀型コミュニケーション力をどのような形で教育課程、教育計画に取り入れていったか。】
 A3.府教委指定の「ことばの力」の育成の研究の中に、21世紀型コミュニケーション力の内容を入れ込んで研究を進めた。
特に、各教員が21世紀型コミュニケーション力の能力表のどの段階のどの内容に取り組んでいるかを意識して実践を進めた。

【Q4 研究の組織をどのようにしたか。】
 A4.研究推進委員会、全体会、各学年・ブロック部会
基本となることばの力育成部(仮説1 国語科の研究)と伝え合う力育成部(仮説2 他教科・領域の研究)の2部編成。

【Q5 どのように研究をすすめたのか。】
 (1)どのように事前研究会をもったのか。

 A5.2部にわかれて部ごと(8名程度)に事前研究会を行った。実施時期を授業の2週間前に設定し、言語活動の充
実の工夫が練られているか、またその中で教科のねらいを満たしているかを中心に議論を行った。
さらに具体的な指導方法や話し合いの進め方、発問などを具体的に議論した。効果的なICTの活用についても議論した。

 (2)どのように研究授業に取り組んだのか。
 A5.研究授業を行うクラス以外のクラスで事前の授業を行い、それをブラッシュアップして研究授業を行った。
研究授業では、参加者は、授業参観中に付箋に意見を書き、指定された場所に貼りつけた。また、後で授業を振り返ることができるように、ビデオ撮影、写真撮影を行った。グループ学習時には、あらかじめ分担しておいたグループを観察するようにした。

 (3)発問、板書、ノート指導、机間巡視などで工夫した点は何か。
 A5.発問:特に話し合い活動の発問は、話し合いの観点を子どもたちにどのように与えるかを含めて十分に吟味した。
ノート:板書を写すだけでなく、自分の考えを残すことができるように、話し合いの基となるように自分の考えや友     達との話し合いの過程を記録させた。
板書:電子黒板と板書をどのように組み合わせると効果的かについて留意した。
机間指導:例えば理解の進まない児童への指導はどうするか、一斉に発表させる際の指名順など、事前にどの        観点で授業者が指導するかを検討した。

 (4)授業者はどのような点に留意したか。
 A5.授業の構想時に、本校のこれまでの研究を振り返り、その流れに沿って構想を練ることにした。指導案には、研究仮説にどのように向かうかを記述し、それを中心に授業を組み立てていった。また、年度初めから研究授業に向かって、子どもたちのコミュニケーションのスキルを高めた。

 (5)参観者はどのような点に留意したか。
 A5.教科としてねらいを達成しているのか、コミュニケーション力の育成としてどうなのか、本研究をどのように進めていくのかを意識して授業を参観した。児童の変容やどのような力がついてきているのか、児童の「みとり」を全員で行うことで研究の成果と課題を確かめていけるようにした。

 (6)どのように事後研究会をもったのか。
 A5.全員参加。
ワークショップ型の授業後研究会を実施。研究授業で貼られた付箋を使っていくつかのグループに分かれ話し合いを行った。
話し合いでは、付箋をグルーピングし、付箋を貼った模造紙にキーワードとなる内容を書き込んだ。
また、教科の指導よりも、コミュニケーション力の育成に焦点をあてるような話し合いになるように意識をした。
さらに、グループのファシリテーターをなるべく若年層教員に行わせたり、授業によって、グループのメンバーを変えたりして、話し合いが活性化するようにした。その後、グループごとに、付箋を貼った模造紙を見せながら、プレゼンテーションを行い、話し合った内容を共有した。その結果、教員自身が話し合いを深めるうちに、多様な形の話し合いを経験することによって、話し合いの進め方や注意点を学ぶことになり、それが自分の授業で子どもたちに話し合わせる際に、生きることとなった。

 【Q6 21世紀型コミュニケーション力がついたかどうかをどのように確かめたか。】
 A6.研究授業による検証。
6年生の子どもたちにアンケート調査を行った。「話し合う学習が好きか」では、84%の児童が好きと答えた。今後は、児童自身が評価基準を持つルブリックやパフォーマンス評価を取り入れたり、指導者が能力表をもとに具体的なチェックリストを作ったりするなど評価の工夫改善を行っていきたい。

 【Q7 21世紀型コミュニケーション力をつける研究の成功のポイントは何か。】
 A7.研究の中心である言語活動の充実に、コミュニケーション力がなくてはならいものだという共通認識が教員間にあった。
その結果、例えば、ほとんどの授業では、ペア活動、グループ活動を取り入れ、活動後の全員で内容を共有する時間を大切にしていた。
そうしていく中で、特にグループ活動では、3人で話し合わせるのが有効だとか、全員で必ず話し合わせる活動を入れるというような学校として授業の一つのパターンができた。また、授業後の話し合いでも、教科の目標やねらい、教科の指導法などばかりを追求していくのではなく、「コミュニケーション力を育成するためにどんな手立てが必要だったのか」というような話し合い活動(形態・与える観点・方法など)自体の議論を進めることができた。

 【Q8 本研究での課題はなにか。】
 A8.「討論」、「説得・納得」の主張レベルの育成が不十分である。また、コミュニケーション力育成についてどのように評価するかについても、検討が必要である。

 【Q9 手引きを参照したときに、どの部分が参考になった(影響を与えた)か。】
 A9.○「各教科等における21世紀型コミュニケーション能力表」
・はじめて21世紀型コミュニケーション力を学ぶときに、4段階がどのように深まっていくかが一目でわかり、理解しやすい。
・どの発達段階でどのようなレベルまで取り組むかの目安になる。
○「21世紀型コミュニケーション力学習活動案」
・研究授業を構想するときに実践を参考にできた。
・全ての教科・領域で21世紀型コミュニケーション力を高める授業が可能だということがわかった。

 【Q10 21世紀型コミュニケーション力がついたと感じた部分はどこか。その要因は何か。】
 A10.「対話」、「交流」の協調的レベルの力を系統的に育成できた。また、各教科の学習活動で、学習形態を工夫することで、話し合うスキルが向上した。さらに、自分の思いを小集団の中で話すことができるようになった。要因は、6年間を通して、取り組んできた「聞く」「話す」「プレゼンテーション」「文章表現力」のスキルアップの活動が基礎となり、さらに教員が授業の中で意識的に「対話」「交流」させる活動を取り入れることで力がついたと思われる。

 【Q11 21世紀型コミュニケーション力がつかなかったと感じた部分はどこか。その要因は何か。
 A11. 「討論」、「説得・納得」の主張的レベルの育成について、国語科以外での取り組む機会が少なく、十分に育成できなかった。また、どの教科のどの場面で「討論」「説得・納得」の主張レベルの育成を図っていくかの検討が必要だった。

 【Q12 21世紀型コミュニケーション力をつけることとICTの活用の関係はどうか。
 A12.示しながら話す、組み合わせて書くなど映像と言語を組み合わせた活動にICTは大変役に立つ。また、自分の考えていることを整理したり、話し合いの過程を記録したりと思考の可視化にも活用できる。
 
まとめ
府教委指定の「ことばの力」育成プロジェクトを基本に、本校独自の「ことばの力育成プログラム」を作成し、コミュニケーション力を育成する基礎的な取りくみをしっかりしてきた学校である。

よって、どのクラスでもコミュニケーション力の基礎的な部分を確保した上で、21世紀型コミュニケーション力に取り組むことができている。

校内研究では、21世紀型コミュニケーション力の育成を前面に出すのでなく、本校で取り組んできた「ことばの力」の育成を正面にして、実際には、21世紀型コミュニケーション力の能力表を基にしながら、どの学年のどの単元でどのようなコミュニケーション力をつけるかを洗い出して重点教材を決め、実践を行った。実際のインタビューでも聞かれたが、ICTや21世紀型コミュニケーション力を前面に出さなくても、能力表の活用を中心に置くことによって、結果的には、21世紀型コミュニケーション力の育成になっているのである。

また、本校は、ここまでの積み上げがしっかりとあるので、「各授業に必ずペア活動・グループ活動を入れる、グループ活動なら3人で行うことがベスト」のように、コミュニケーション力の育成のための学校としての一つのパターンをもっていることが強みである。

研究授業の捉え方も素晴らしい。研究授業をただ行うのでなく、それぞれの研究授業で見られた良かったところや生かせるところを参観者が吸収して次の授業研究を行ったり、課題が出されたら次の研究授業で改善したりするなどつながりのある研究授業を行っている。

よって、研究授業の度に内容が進化していくのである。

各学校は、学校によって様々な教科・領域から研究対象を絞り、研究主題を設定して研究を行っている。そこに、いきなり21世紀型コミュニケーション力を前面に研究を行うことは、なかなか難しい。しかし、本校のように、学校の研究主題を変更することなく、研究内容として21世紀型コミュニケーション力を取り上げることは、その研究を深め、進める有効な方法となる。今後の一つのモデルとなる実践である。



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