一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET & CEC)は、2025年12月、松本文部科学大臣を訪問し、次世代の教育を推進するために不可欠な「ICT支援員の充実」に関する提言書を提出いたしました。本提言は、当会の「教育ICT課題対策部会」において、学校現場の現状と将来の教育ビジョンを深く議論し、取りまとめたものです。
1. 提言の背景 : 学校現場の切実な課題
現在、GIGAスクール構想によって1人1台端末の環境は整いましたが、学校現場では教員が「アカウント管理」「端末管理」「セキュリティ対策」「ネットワーク管理」といった膨大な技術的業務に追われています 。 また、授業中も「ログインできない」「操作がわからない」といったトラブル対応に追われ、理想とする授業でのICT活用が充分に出来ていない実情があります。
2.提言の内容 : ICT支援員が創る「教育の未来」
当会は、ICT支援員を単なる「技術スタッフ」ではなく、「教員のパートナーとなる専門職」と位置づけています 。ICT支援員の充実により、以下のような次世代教育の実現を目指すべきだと提言しました。
- 児童生徒の学びの深化 「できた!わかった!もっと学びたい!」という意欲を導き、情報活用能力や思考力・表現力を育成する 。
- 教員の業務高度化 端末管理から解放された教員が、教材研究や学習履歴に基づいた分析・計画に注力できる環境を整える 。
- 中高接続の強化 初等中等教育での基盤作りを確実に行い、高等学校での「N-E.X.T.ハイスクール構想」における探究的な学びへとつなげる 。
3.国への具体的な要望
本提言では、松本大臣に対し、以下の3点を重点的に要望いたしました 。
- 質の担保 全国の学校でスキル格差なく支援を受けられる仕組みづくり 。
- 適切な配置 必要な頻度と時間に合わせた柔軟な配備 。
- 持続可能な処遇 専門職としての雇用・賃金など、持続可能な待遇の確立 。
※現在、学校のICT環境整備3か年計画(2025〜2027年度)にて地方財政措置によるICT支援員の配備について予算措置が取られていますが、配置のばらつきやスキルや研修受講の機会の格差などまだまだ充分とは言えない状況です。
●関連資料 ICT支援員の適正配置を(文部科学省 令和7年3月)
https://www.mext.go.jp/content/20250317-mxt_jogai01-000010766_001.pdf
4.参考資料 等
当会は今後も、教育工学の知見をもと、教育の情報化に関する調査・研究および提言活動を通じて、次世代を担う子どもたちの学びを支援してまいります 。
以上