近年、学校のICT 環境整備は、「GIGAスクール構想」の実現を中心に推進されています。これらの全体像と主な予算についてご紹介します。

文部科学省

■高等学校における端末整備支援(補助金)※ 1

 (文部科学省 2020 年度補正予算 161 億円)
  対象:国・公・私立の高等学校・特別支援等

 義務教育段階に1人1台端末環境で学んだ児童生徒が、高等学校に進学しても切れ目なく同様の環境で学べるよう、高等学校段階においても1人1台端末環境を実現するため、低所得世帯等の生徒が使用するPC 端末の整備について補助するものです。補助割合は国・公立が定額、私立が1/2 で、いずれも上限は4.5 万円となっています。

■家庭学習のための通信機器整備支援(補助金)

 (文部科学省 2020 年度補正予算 21 億円)
  対象: 国・公・私立の小・中・特別支援・高等学校等

 緊急時における家庭でのオンライン学習のため、Wi-Fi 環境が整っていない家庭に対する貸与等を目的として、自治体が行うモバイルルーター等の整備を支援するものです。補助割合は国・公立が定額、私立が1/2 で、いずれも上限1万円となっています。

■GIGA スクールサポーター配置促進事業 (補助金)※ 2

 (文部科学省 2021 年度予算 10 億円)
  対象: 国・公・私立の小・中・特別支援・高等学校等

 急速に学校ICT 環境整備を進める自治体への支援や、緊急時におけるオンライン学習の実施に関する支援等を行うため、ICT 環境整備等の知見を有する人材の配置経費を支援するものです。補助割合は国立が定額、公立・私立は1/2 となっています。

■学習者用デジタル教科書普及促進事業 (実証事業)※ 3

 (文部科学省 2021 年度予算 22 億円)
  対象: 国・公・私立の小学校5・6年生、中学校全学年等

 義務教育段階の学校における1人1台端末の早期実現を踏まえ、1人1台端末環境が整っている小・中学校等を対象に、児童生徒の学びの充実や障害等による学習上の困難の低減のため、希望する小・中学校に対し、小学校5・6年生および中学校全学年の1教科分の学習者用デジタル教科書(付属教材を含む)を提供し、普及促進に向けた実証事業(20.3 億円)を実施するものです。そのほか、この事業ではクラウド配信に関する検証(1.2 億円)やデジタル教科書の効果・影響に関する実証研究(0.7 億円)も行われます。

■私立高等学校等ICT 教育設備整備推進事業 (補助金)

 (文部科学省 2021 年度予算 13 億円)
  対象:私立小・中・特別支援・高等学校等

 私学の特色を生かしつつICT 教育を実施していくために必要な、教育用コンピュータのハードウェアやソフトウェアおよび周辺機器、視聴覚関連機器などICT 教育設備を整備する経費を補助するものです。補助率は対象事業費の1/2 以内で、最高2,000 万円までとなっています。

経済産業省

■「未来の教室」実証事業(学びの個別最適化・STEAM化の実証)

  (経済産業省 2021 年度予算 13 億円)
  対象:国・公・私立の高等学校・特別支援等

 教育産業関連の企業・学校・研究機関等の連携により、1人1台端末環境下におけるEdTech を活用した学びの個別最適化や、STEAM(Science,Technology, Engineering, Art, Mathematics)化のモデル事例創出や効果検証などの導入実証を行う事業です。

地方財政措置

■教育のICT 化に向けた環境整備5か年計画 (2018 ~ 2022 年度)※ 4

  (地方財政措置 単年度 1,805 億円)
   対象:公立小・中・特別支援・高等学校等

 学習指導要領に対応するため、「2018 年度以降の学校におけるICT 環境の整備方針概要」に基づき、大型提示装置や教育用コンピュータ、校務の情報化やICT 支援員の配置等に必要な経費のための地方財政措置が講じられています。2019~ 2020(令和元?2)年度に実施された「GIGAスクール構想の実現」により、学習者用端末や校内ネットワーク環境の整備が進められましたが、それはこの5か年計画の推進を前提とし、それを補うためのものです。大型提示装置や指導者用端末、ICT 支援員など、学校で必須の項目や必要と思われるものについても、並行して整備を進めることも重要です。