一人ひとりの「好き」と「得意」を伸ばす、次代の学びの創造へ

 生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進歩は、私たちの社会や生活を大きく変えようとしています。学校教育もまた、これまでの知識の習得を中心とした学びから、学んだ知識を活かし、自ら問いを立て、仲間と協働しながら新たな価値を創造する学びへと、その在り方が問われています。
 2026年9月に公表された国際学力調査PISA2025では、日本の子供たちは科学、数学、読解力のいずれにおいても世界トップクラスの成績を維持しました。一方で、前回調査に比べ平均得点が低下し、学力の低い層が増加するなどの課題も見られます。また、知識や技能を身につけることに加え、学ぶことへの興味や関心を育み、自ら学びを進め、社会の課題に主体的に関わっていく力をどう育てるかが、改めて問われています。
 こうした中、次期学習指導要領に向けた審議が進められ、「『好き』を育み、『得意』を伸ばす」という方向性のもと、子供たち一人ひとりの興味・関心を起点とした学びの充実が目指されています。特に注目したいのは、探究的な学びの充実と、その基盤となる情報活用能力の抜本的な向上です。情報を収集・分析し、課題を発見し、解決策を考え、表現する力は、これからの社会を生きるすべての子供たちに必要な資質・能力です。プログラミングやデータの活用、AIの特性の理解など、情報技術を単に使うだけでなく、その仕組みや可能性、限界を理解し、創造的に活用する教育が求められています。
 GIGAスクール構想によって整備された一人一台端末とネットワークは、こうした学びを実現する重要な基盤となりました。しかし、デジタル機器が整備されただけで、子供たちの学びが変わるわけではありません。一人ひとりの興味・関心や習熟度に応じた多様な学習コンテンツ、学習状況を把握し支援する教育データの活用、そして何より、子供たちの主体的な学びを支える教師の指導力が不可欠です。学校や地域による活用の格差を解消し、誰もが質の高い学びにアクセスできる環境を整えていかなければなりません。
 生成AIの教育利用にも大きな可能性があります。子供たちの発想を広げ、問いを深め、学びを振り返る相手として、AIは新たな役割を果たすことでしょう。しかし、AIが答えを示してくれる時代だからこそ、自分で考え、判断し、他者と対話しながら納得できる答えを創り出す力が一層重要になります。確かな知識の習得と探究的な学び、個別最適な学びと協働的な学びを結びつけることが大切です。そして、子供たちの可能性を見いだし、その成長に寄り添う教師の役割は、AI時代においても変わることはありません。
 本会には、教育の情報化を支える多くの企業・団体が参画しています。これまでも教育DXに関する調査研究、優れた授業実践の普及、教員研修、教育ICTに関する展示会やセミナーなどを通して、学校教育の発展に取り組んでまいりました。これからも、教育現場の先生方、研究者、教育委員会、文部科学省をはじめとする関係機関、そして会員企業・団体の皆様と力を合わせ、デジタル学習基盤の充実とその効果的な活用を進めてまいります。
 すべての子供たちが自らの「好き」を見つけ、「得意」を伸ばし、学ぶ喜びを実感しながら、未来を切り拓いていく。そのような教育の実現に向けて、JAPET&CECは、教育と技術をつなぎ、次代の学びの創造に一層貢献してまいりたいと思います。

一般社団法人 日本教育情報化振興会
(JAPET&CEC)
会長  山西 潤一
2026年10月1日