ここでは、学習指導要領で、学習の基盤となる資質・能力の1つとして位置づけられた情報活用能力にフォーカスを当てて、学校現場での児童生徒の情報活用能力の育成や授業づくりにすぐに役立つ情報やセミナー情報等を発信しています。

情報活用能力を育む授業づくり

 公益財団法人JKAの協力のもと、教育とICTに関わる研究者、教育委員会担当者、校長、教員、そして事務局の(一社)日本教育情報化振興会で組織された「情報活用能力育成調査研究委員会」(委員長:放送大学 教授 中川一史 先生)によって協議・検討し得られた貴重な知見等から作成された「情報活用能力ベーシック」と「情報活用能力を育む授業づくりガイドブック」の内容を元に、情報活用能力を育む授業づくりの指針となる観点や授業事例をご紹介しています。

情報活用能力ベーシック
(小学校)

《 冊子、ダウンロード 》
情報活用能力を育む
授業づくりガイドブック

※小学校編
《 冊子、ダウンロード 》
情報活用能力を育む
授業づくりガイドブック

中学校編
《 冊子、ダウンロード 》
情報活用能力ベーシック
を活用した実践事例集


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すぐに使える!情報活用能力ベーシック

 2020 年全面実施の小学校学習指導要領を対象にして、基本となる学習のプロセスに各教科の特徴をふまえ情報活用能力を位置づけた観点「情報活用能力ベーシック」を公開しました。

 小学校各教科版の情報活用能力ベーシックを作成するにあたっては、まず、①授業を実施する際に拠り所となる学習指導要領等をもとに、基本となる5 つの学習プロセス(【課題の設定】【情報の収集】【整理・分析】【まとめ・表現】【振り返り・改善】)及び13 のキーワード(発見・収集・整理・比較・処理・統計・形成・発信・伝達・表現・創造・振り返り・改善)から構成される情報活用能力ベーシックを開発しました。

次に、②情報活用能力ベーシックを構成する13 のキーワードを用いて、各教科・領域の学習指導要領を確認し、最終的に次頁以降に示すように、③各教科・領域の学習内容に適用できることを示しました。

あくまでも、情報活用能力ベーシックですので、これをもとに、ご自身の担当学年の授業や学校の実態に応じて活用いただけると幸いです。

5つの学習プロセスと13の情報能力育成キーワード

課題の設定
(発見)

●読書や日常の生活や事象、見学、実験・観察などを通して問題意識を持つ(国、社、算、理、生、体、外、道、総、特)
●根拠ある予想や仮説を立て解決方法を考える(理、生、社、総)
●達成すべき目標を明らかにする(全)

情報の収集
(収集)

●実体験や実験・観察、聞き取りなどで複数の一次情報を収集する【自然の変化や社会的事象、材料など】(全)
●本や新聞、インターネットなどの複数の二次情報を収集する【文章、地図、統計、写真・映像など】(全)

整理・分析
(整理、比較、処理、統計)

●文章などの情報の意味を正確に理解する(全)
●観点を定めて異なる情報を比較・分類したり関連づけたりして整理する(全)
・信頼できる情報か確かめる(全)
・共通点や相違点を明らかにする(全)
・直接比較・間接比較、任意単位を用いた測定による比較をする(算)
・表などに整理して考察などに使えるようにする(理)
・全体の傾向や因果関係を見つける(総)
・表現の要素を分析する(音、図)
・意図や気持ちなどを読み取ったりする(図)
・必要な情報かを判断し取捨選択する(総)
・情報を順序よく並べたり、書き直したりする(総)
・情報を組み合わせて、新しい関係性を創る(総)
●対話によって多面的・多角的に捉える(全)
●表現のよさを判断したり、深く捉えたりする(音、図)
●自分の考えを形成する(全)

まとめ・表現
(形成、発信、伝達、表現、創造)

●伝える目的を考え、情報を取捨選択し、伝えたい内容を明確にする(全)
●自分の思いや意図が伝わるような適切な語句や表現を選び工夫して伝える(全)
・説明したり、議論したり、文章にしたりする(全)
・音楽や平面・立体作品、映像メディアなどを工夫して表現する(音、図)
●事実や判断の根拠や理由、思考の過程を明確に示して伝える(全)
・言葉や図、数、式、表、グラフなどを用いて表現する(算)
・数学的な表現を用いて共有したり、数学的に説明したりする(算)
・白地図や年表、図表などにまとめる(社)
●考えた根拠を示しながら議論する(社)
●根拠のある予想や仮説・解決の方法を発想し表現する(理)
●周りに働きかけてより良くしようと創造する(生、特)

振り返り・改善
(振り返り、改善 )

●学習した内容を自分の言葉でまとめる(全)
・自分の考えを再構成し、さらに深める(国)
・生活の在り方や国家・社会の発展について考える(社)
・どのような意味や価値が創り出されたのかを考える(図)
●自分の学習方法を評価・改善し、次に生かす(全)
・数学的に表現・処理した方法を改善し、生活に生かす(算)
・探究の過程や実践などの見直しや再検討を行う。
(理、家)
●自身の変化や成長について振り返る(全)

「情報活用能力ベーシック」は、こんな場面で使えます!

教育委員会
では

 指導助言等で学校に訪問した際、このガイドブックを授業研究の共通項として扱います。本時
は5つの学習プロセスのどこにあたるのか、そもそもこの単元設計は5つのプロセスが含まれて
いるのかといったことをガイドブックと照らし合わせながら確かめます。特に単元を通した情報
活用能力育成のためにも、プロセスの視点は重要です。
 さらに教科のねらいを達成する取り組みと合わせて、本時で育むべき情報活用能力の育成の場
面が並行して組み込まれているのかを確認する際に活用できるでしょう。

校内研修
では

 学習指導要領において,情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力に位置付けられたことに
より,情報活用能力の育成を校内研究のテーマとして扱う学校が増えてきました。校内研究で成
果をあげるためには,研究のねらいや内容,評価方法について全員が理解する必要があります。
 しかし,これまで情報活用能力に関しては,教師各々のイメージや整理の仕方で進めているこ
とが多かったのではないでしょうか。「情報活用能力ベーシック」でプロセスやねらいを共通理
解することは,全体での授業検討や評価を進める際に役立つものといえます。

若手教員
では

 若手教員や教員を目指す学生の中には、「情報活用能力を育成する授業」といわれても、児童
生徒の具体的な学習活動をイメージすることが難しい方もいるのではないでしょうか。
 そんな皆さんには、このガイドブックに示されている「自分の考えを形成する」「学習した内
容を自分の言葉でまとめる」などを、そのまま児童生徒の学習活動として計画・展開することを
おすすめします。
 そして、1 回の授業ではなく、5つの学習プロセスを、さまざまな場面で取り入れ続けること
も大切です。

情報活用
能力育成
研究校
では

 研究を進めるためには、情報活用能力を育成するための年間指導計画が必要です。そのために、
学習単元において、どの授業のどの場面でどのプロセスを重視するのかについて考えた設定理由
表を作成します。
 これを用いて、5つの学習プロセスを年間指導計画に落とし込んで活用していきます。
 また研究授業の際には、各教科等で提示されている内容と、本時の展開で情報活用能力の育成
のために取り組む内容が一致するかを検討し学習指導案を作成します。
 さらに、5つのプロセスに合致したアンケートを実施することで、児童の実態把握に努めるよ
うにします。

「情報活用能力ベーシック」で授業づくり!

各教科への情報活用能力を位置づけた5つの学習プロセスの展開

❶課題の設定
日常生活で経験したり感じたり考えたりしたことや想像したことから話題を設定する。
❷情報の収集
相手や目的を意識して、必要に応じた方法で複数の情報を収集する。
❸整理・分析
伝え合うために必要な情報かどうか、多様な観点から比較・分類して整理することで、伝えたいことを明確にする。
❹まとめ・表現
話の内容を分かりやすく伝えるために、事実や判断の根拠や理由を示しながら、表現を工夫する。そして自分の考えを述べる。
❺振り返り・改善
学習の過程やまとめの段階で、伝えたいことが伝わったかを振り返り、考えを再構成しながら、自分の考えをさらに深める。

❶課題の設定
日常生活で経験したり感じたりしたことや想像したことから話題や題材を設定する。
❷情報の収集
伝えるために必要な事柄を集める。
❸整理・分析
伝えるために必要な事柄であるか確かめる。
❹まとめ・表現
時や事柄の順序を考えて、伝えたいことを表現する。
❺振り返り・改善
自分や友達の学びについて、思ったことを伝え合う。

❶課題の設定
目的を意識して、日常生活で経験したり感じたり考えたりしたことや想像したことから話題や題材を設定する。
情報の収集
目的に合う情報を収集する。
❸整理・分析
情報を比較したり分類したりして、伝えたいことを明確にする。
❹まとめ・表現
理由や事例などを挙げ、話の中心が明確になるように構成や表現を工夫する。
❺振り返り・改善
観点をもって、振り返り、次の活動へ生かす。

❶課題の設定
目的や意図に応じて、日常生活で経験したり感じたり考えたりしたことや想像したことから話題や題材を設定する。
❷情報の収集
目的や意図に応じた方法で複数の情報を収集する。
❸整理・分析
情報を分類したり関係付けたりして、伝えたいことを明確にする。
❹まとめ・表現
事実と感想、意見とを区別するなどして構成を考えたり、表現を工夫したりする。
❺振り返り・改善
学習の過程やまとめの段階で、伝えたいことが伝わっ
たかを振り返り、考えを再構成し、自分の考えをよ
り深める。

● ● ●


❶課題の設定
地域や生活などの社会的事象から課題を発見する。
❷情報の収集
調査活動や諸資料の活用など手段を考えて問題解決に必要な社会的事象に関する情報を適切に収集する。
❸整理・分析
位置や空間的な広がり、時期や時間の経過、事象や人々の相互関係などに着目して社会的事象を捉え、どのような違いや共通点があるか比較・分類したり総合したり、どのような役割を果たしているか地域の人々や国民の生活と関連付けたりする方法で、考えたり選択・判断したりする。
❹まとめ・表現
資料や調査活動で得た情報を白地図や年表、図表などに効果的にまとめる。また、考えたことや選択・判断したことを説明したり、それらをもとに議論したり、文章で記述したりする。
❺振り返り・改善
学習を振り返り、学習成果をもとに生活の在り方やこれからの国家及び社会の発展について考える。

❶課題の設定
身近な地域や自分自身の生活に関することから課題を発見する。
❷情報の収集
見学や聞き取り調査、地図帳やコンピュータを用いて課題解決に必要な情報を集めたり、地図や写真、年表などの資料から情報を読み取ったりする。
❸整理・分析
収集した情報に対し、場所や人々の相互関係等に着目してどのような違いや共通点があるか比較・分類したり、自分の地域や人々の生活と関連付けたりして考える。
❹まとめ・表現
調査で得た情報をもとに考えたことや選択・判断したことを文章で記述したり、白地図や年表、図表などに表したことを使って説明したりする。
❺振り返り・改善
学習を振り返り、学習成果をもとに生活の在り方やこれからの地域社会の発展について考える。

❶課題の設定
我が国の国土・産業・歴史や、世界の人々との共生に関することから課題を発見する。
❷情報の収集
情報の不確実性及び、見学・聞き取り調査・地図帳・コンピュータなどの情報の収集手段の特性に留意して情報を集めたり、地図や写真、年表、統計などの資料から、事象の広がりや経過などを適切に読み取ったりする。
❸整理・分析
事象の広がりや時間の経過、人々の相互関係等に着目し、複数の情報を比較・統合したり、国民生活や世界における我が国の役割と関連付けたりしながら考える。
❹まとめ・表現
考えたことや選択・判断したことを白地図や図表、年表等にまとめたり、それらを使って根拠や理由などを明確にして論理的に説明したり、他者の主張につなげ立場や根拠を明確にして議論したりする。
❺振り返り・改善
学習を振り返り、学習成果をもとに生活の在り方やこれからの国家及び社会の発展について考える。

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❶課題の設定
日常の事象及び数学の事象を対象とした算数的な課題を発見する。
情報の収集
目的に応じて、データを収集する。
❸整理・分析
観点を定めてデータを分類整理し、それらを直接比較や間接比較、任意単位を用いた測定による比較を行う。
❹まとめ・表現
言葉や図、数、式、表、グラフなどを適切に用いて、数量や図形などに関する事実や手続き、思考の過程や判断の根拠などを的確に表現したり、考えたことや工夫したことなどを数学的な表現を用いて伝え合い共有したり、見いだしたことや思考の過程、判断の根拠などを数学的に説明したりする。
❺振り返り・改善
数学的に表現・処理したことや自らが判断したことを振り返り、結果や方法を改善したり、日常生活等に生かしたりする。

❶課題の設定
身の回りの事象を観察した、具体物を操作したりして、数量や図形の課題を見いだす。
❷情報の収集
身の回りの身近な題材から、データを収集する。
❸整理・分析
身の回りの事象について観点を定めて絵や図で分類整理し、簡単なグラフに表現して特徴をとらえる。
❹まとめ・表現
問題解決の過程や結果を、具体物、図、数、式などを用いて表現し伝え合う。
❺振り返り・改善
問題解決から学んだことのよさや楽しさを感じる。

❶課題の設定
日常の事象や算数の学習場面から、算数的な課題を発見する。
❷情報の収集
課題解決に向けての目的を明確にし、データを収集する。
❸整理・分析
日時の観点や場所の観点などからデータを表に分類整理し、棒グラフや俺線グラフに表現して、特徴や傾向を考察する。
❹まとめ・表現
問題解決の過程や結果を、図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う。
❺振り返り・改善
問題解決の過程や結果を、図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う。

❶課題の設定
日常の事象を数理的に捉え問題を見いだしたり、算数の学習場面から算数的な課題を発見したりする。
❷情報の収集
目的に応じて、様々な質的データや量的データを収集する。
❸整理・分析
観点を定めて表などに分類整理し、目的やデータの種類に応じてグラフにまとめたり、統計量を求めたりして特徴や傾向を把握し、考察する。
❹まとめ・表現
問題解決の過程や結果を、目的に応じて図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う。
❺振り返り・改善
問題解決の過程や結果を、目的に応じて図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う。

● ● ●


❶課題の設定
差異点や共通点をもとに問題を発見する。
情報の収集
自然の事物・現象に直接触れ、観察や実験を通じて情報を得る。
❸整理・分析
自然事象の様子に着目して、それらを比較しながら調べ、その結果を表などに整理して考察などに使えるように処理する。
❹まとめ・表現
問題を見出し表現する。根拠のある予想や仮説を発想し表現する。
解決の方法を発想し表現する。より妥当な考えをつくりだし表現する。
❺振り返り・改善
予想や仮説、観察や実験など探究の過程を振り返り、見直しや再検討を行う。

❶課題の設定
事物・現象を比べて、差異点や共通点をもとに問題を見いだしたり、既習内容等に基づいて予想や仮説を発想したりする。
❷情報の収集
着目した事物・現象を比較したり、関連付けたりしながら調べ、情報を得る。
❸整理・分析
観察や実験で得られた情報を図や表、グラフなどを用いて整理し、考察できるようにする。
❹まとめ・表現
表やグラフから読み取ったことなどを使って、特徴や関係性を捉え、適切に表現する。
❺振り返り・改善
予想や仮説に基づいて行った観察や実験の方法を振り返り、学習の見直しを行う。

❶課題の設定
予想や仮説をもとに次の問題を発見したり、新たな視点で自然の事物・現象を捉えようとしたりする。
❷情報の収集
事物・現象の変化する要素について、条件を制御しながら観察や実験を行い、多面的に調べながら情報を得る。
❸整理・分析
得られた情報を図や表、グラフなどに整理して関係性を見出すなど、適切に処理して考察できるようにする。
❹まとめ・表現
根拠のある予想や仮説をもとに、解決の方法を発想し、より妥当な考えをつくり出し、表現する。
❺振り返り・改善
予想や仮説に基づいて行った観察や実験の方法など、自らの学習活動を振り返って意味付け、再検討を行う。

● ● ●


❶課題の設定
身の回りの日常の事象から様子や特徴を発見する。
❷情報の収集
目的を明確にしながら調べたり体験したりして収集する。
❸整理・分析
自分や身の回りの自然の変化や成長の様子を比較する。
❹まとめ・表現
伝える相手や伝える目的を明確にしながら様々な方法で発信する。
自分自身や自分の生活について考え、表現したり周りに働きかけてより良くしようと創造したりす
る。
振り返り・改善
自分自身の生活や成長を振り返る。

❶課題の設定
自分にとっての音楽のよさや面白さを見いだす。
❷情報の収集
自分が表したい音やフレーズを探したり、音色、リズム、速度、反復、呼びかけとこたえなどの音楽を形づくっている要素を聴き取ったりする。
❸整理・分析
リズムや旋律、各声部の役割、曲全体の構成などの特徴を比較する。
ふさわしい音を選択したり表現のよさを判断したりする。
❹まとめ・表現
自分の思いや意図が聴き手に伝わるように表現したり、曲の特徴にふさわしい表現を工夫したりする
❺振り返り・改善
 (学習指導要領から見出すことができない。)

❶課題の設定
自分の感覚や行為を通して、形や色などに気付き、それをもとに自分のイメージをもつ。
❷情報の収集
自分の思いに合う材料を児童自身が集める。
❸整理・分析
形や色などから分析的に見たり、意図や気持ちなどを読み取ったりするなど、作品などを深く捉えられるようになる。
❹まとめ・表現
感じたこと、想像したことなどのイメージから、表したいことを見付けて、好きな形や色を選んだり、表し方を考えたりしながら、技能を働かせて表現を工夫する。
❺振り返り・改善
自分たちの活動を通して自分にとってどのような意味や価値がつくりだされたのかを振り返る。

● ● ●


❶課題の設定
日常の生活経験や教材の中から、道徳的価値についての課題を発見する。
❷情報の収集
教材を読んだり他者と対話したり協働したりしながら、多様な考えや価値観に触れる。
❸整理・分析
自分の考えを基に、書く活動・話合い・様々な表現方法を通して、物事を多面的・多角的に捉え、自分の考えを整理する。
❹まとめ・表現
多様な感じ方や考え方に接する中で、物事を多面的・多角的に捉えて整理したことを自分の感じ方や考え方で表現する。
❺振り返り・改善
自分の生活を振り返り、改善すべき点などについて進んで見直しながら、個人が直面する様々な状況の中で、そこにある事象を深く見つめ、自分はどうすべきか、自分に何ができるかを判断し、そのことを実行する手立てを考え、実践できるようにしていくなどの改善を行う。

※道徳の情報活用能力ベーシックの策定にあたって、安井政樹教諭(札幌市立幌北小学校)の協力を得ました。

❶課題の設定
運動や健康に関する課題を発見する。
❷情報の収集
健康な生活を実践するために、健康に関する必要な情報を収集する。
❸整理・分析
課題を見いだし他者と協働しながら解決したり、自分の考えを形成し伝え合ったり、思いや考えを
もとに創造したりするために情報を捉えて多角的に精査する。
❹まとめ・表現
運動について、グループの中で互いの役割を決めて観察し合ったり、学習カードやICT 機器を活用したりして、つまずいていた技や演技のこつやわかったこと等を、文字や図で書いたり、映像を活用して発表したりする。健康に関する課題に対応して、保健の知識及び技能等を活用して、自己の健康を保持増進するために的確に思考し判断するとともに、それらを表現する。
❺振り返り・改善
運動について、技のできばえを振り返ったり、自己評価したりする。健康について、健康等に関する課題を見付けるために、学習内容や自己の経験を振り返る。

❶課題の設定
日常生活・家庭生活の中から問題を見出し、課題を設定する。
❷情報の収集
調べたり、観察・実験・実習した結果について多様な観点から比較・検討したりする。
❸整理・分析
生活をよりよくする視点をもって情報を取捨選択し、図表・グラフ等に整理する。
❹まとめ・表現
実感を伴って理解できるように、発表のしかたを工夫する。
❺振り返り・改善
計画どおりに実践できたこと、できなかったことなどを評価し、どのように改善して生活に生かしたらよいかを考えることができる。

● ● ●


❶課題の設定
外国語の音声や文字、語彙、表現、文構造、言語の働きなどについて、日本語と外国語との違いに
気付き理解する。
❷情報の収集
 (学習指導要領から見出すことができない。)
❸整理・分析
コミュニケーションの目的や場面、状況等に応じて情報を整理しながら考えなどを形成する。
❹まとめ・表現
コミュニケーションの目的や場面、状況等に応じて、簡単な語句や基本的な表現の中から適切なものを選び、自分の考えや気持ちなどを伝え合う。
❺振り返り・改善
言語面・内容面で自ら学習のまとめと振り返りを行い、学んだことの意味付けを行ったり、既得の知識や経験と、新たに得られた知識を言語活動へつなげる。

❶課題の設定
日常生活や社会に目を向けた時に湧き上がってくる疑問や関心にもとづいて、自ら課題を見つける。
❷情報の収集
具体的な問題について情報を収集する。
❸整理・分析
課題の解決にとって、その情報が必要かどうかを判断し取捨選択することや、解決の見通しにしたがっ
て情報を順序よく並べたり、書き直したりする。整理した情報をもとに、比較・分類したりして傾向を
読み取ったり、因果関係を見付けたりする。複数の情報を組み合わせて、新しい関係性を創り出す。
❹まとめ・表現
整理・分析された情報から、自分自身の意見や考えをまとめて表現する。相手や目的に応じてより分かりやすく伝わるように、比較する、分類する、関連付けるなどの、「考えるための技法」を活用しながら、より論理的で効果的な表現を工夫する。
❺振り返り・改善
学習を振り返る中で、物事や自分自身に関して考え方が深まるようにする。他者との相互交流や表現による振り返りを通して、課題が更新されたり、新たに調べることを見いだし
たり、意見や考えが明らかになったりする。

❶課題の設定
集団や自己における課題を発見する。
❷情報の収集
適切かつ必要な情報を児童が自ら収集する。
❸整理・分析
問題の原因を整理、処理して、解決に向けての方向性をはっきりとさせる。また、他教科との関連から学級
活動や児童会活動などで行われる調査・統計を用いて分析する。
❹まとめ・表現
自分の意見を発表したり、他者の意見をよく聞いたりして集団としての意見を合意形成する。活動を通して
学んだことをまとめて発表したり、保護者や地域へ発信したりする。楽しく豊かな学級や学校の文化を自発
的、自治的に創造する。
❺振り返り・改善
実践を振り返り、改善しながら見出した課題を克服したり、掲げた目標を達成しようとする。体験活動を通
して気付いたことなどを振り返り、まとめたり、発表し合ったりする。

● ● ●


※中学校については、小学校と同様に情報活用能力ベーシックとして作成する予定です。一部、「社会」と「理科」についてのベータ版を公開しています。

情報活用能力育成調査研究委員会

中川 一史 委員長

 学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力の1つとして情報活用能力が位置付けられました。そのため、様々な情報活用能力に関する表や整理が出ていますが、「分かりにくい」「使いにくい」という声を、よく聞きます。また、自治体や研究会が作成しているものが乱立していて、「拠り所がわからない」という声も少なくありません。そこで、基本となる体系の整理・提案を行う委員会を発足しました。同時に、情報活用能力調査を行い、実態を把握しました。その結果も盛り込みながら、「情報活用能力ベーシック」という指導指標を開発し、模擬授業の実施を行うことにしたのです。
 このような経過の中、本委員会では、授業の構想及び実践に資する学習のプロセスに情報活用能力を位置づけた指導指標を開発し、それを「情報活用能力ベーシック」と名づけました。
「情報活用能力ベーシック」は、学習指導要領をはじめ、文部科学省が公開している関連文書を対象に、「情報活用能力ベーシック」に適合するキーワードを抜き出し、整理したものです。
 2020年度に、小学校版情報活用能力ベーシックを、「授業づくりに小学校版情報活用能力ベーシックを活用してみよう」というパンフレットにまとめました。
 この「情報活用能力を育む授業作りガイドブック」では、さらに小学校の4教科においては低中高学年別に整理したものも含めており、より活用しやすくなったかと思います。
 また、模擬授業については、この情報活用能力ベーシックに基づき、授業として具現化する場面を創出し、委員会で検討を重ね、教員が情報活用能力育成をイメージできる模擬授業として開発しました。今後、様々な地域やイベントで広く模擬授業を実施していく予定です。さらに、授業で活用されることを期待します。
 本委員会は、研究者、教育委員会担当者、校長、教員、そして事務局の(一社)日本教育情報化振興会が一丸となって、本事業を進めてきました。この冊子や取り組みが、子どもたちの情報活用能力育成に寄与することを願ってやみません。

委員長  中川 一史  放送大学 教授
副委員長 小林 祐紀  茨城大学 准教授
委員   秋元 大輔  船橋市立葛飾小学校 校長
委員   稲垣 忠   東北学院大学 教授
委員   岩﨑 有朋  鳥取県教育センター 係長
委員   岡本 光司  金沢大学人間社会学域学校教育学類附属小学校 教諭
委員   菊地 寛   浜松市立雄踏小学校 教諭

委員   郡司 直孝  北海道教育大学附属函館中学校 教諭
委員   佐藤 幸江  放送大学 客員教授
委員   佐和 伸明  柏市立手賀東小学校 校長
委員   前田 康裕  熊本市教育センター 主任指導主事
委員   宮津 光太郎 熊本市教育委員会
委員   山口 眞希  金沢学院大学 専任講師

「情報活用能力ベーシック」及び「情報活用能力育成を育む授業づくりガイドブック」は競輪の補助により作成しました。

先進自治体での活用事例(教育現場での適用)

「情報活用能力ベーシック」を活用し作成した情報活用能力体系表
【引用】鳥取県教育委員会制作「令和4 度 とっとりICT活用ハンドブック(増補版)」

情報活用能力育成セミナー